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クリスマスの直希と大貴の話

【ものもらい ED1後】

12月25日。
信仰があるわけじゃないから、普段と何ら変わらないとある一日だと言ってしまいたいところだが、メディアがこぞって取り上げ、イルミネーションや店頭の飾り付けなど街中がこぞって雰囲気を盛り上げ、クリスマスを演出するからそうとも言えない。
関心があろうがなかろうが、少なからず意識はさせられる。
なにせ、世界的な行事なのだ、仕方ない。
クリスマスと言われて連想する言葉はサンタやクリスマスツリーをはじめ色々あるが、一緒に過ごす人の代表格といえば家族か恋人だろう。
家族と呼べる人は居ないも同然だが、恋人と呼べる奴なら、一応、いる。
同性だけど。
クリスマスに男二人で出掛けるのもなんだかなということになり、それでもなんとなく一緒に居たかったので家で過ごすことにした。
昨年の今頃のことを思い出さないわけではないが、今、隣りに大貴がいることを嬉しく思う。
いや、去年も居たか。
その前の年もいた気がする…。
関係は少し変わったが、彼が隣にいることは変わらないらしくて少し苦笑した。

小さい頃から、サンタクロースからのクリスマスプレゼントはいつも本だったと大貴は言った。
『家族全員に一冊ずつ本が贈られんの。サンタからのプレゼントはそれだけだって。欲しいおもちゃはジジババに買ってもらえーって親が言うの。俺、昔から本とか苦手だから全然嬉しくなかったけど。』
眉間に皺を寄せてそう話していたが、いい話だと思う。
サンタから届くクリスマスプレゼント、祖父母が買ってくれる欲しいオモチャ。
その光景を思い浮かべると、とても暖かい。
なので、大貴は渋ったが今年は俺もそれに倣い本を交換し合うとにした。
書店で、それぞれの年齢にオススメの本のフェアを見かけたので、大貴にはミヒャエル・エンデのモモを押し付けておいた。
全然興味なさそうなので、もしかしたら読まないで本棚の肥やしになってしまうかもしれない。
まあ、気にしないが。

本を読んでのんびりと一日を過ごし、辺りが暗くなり始めるころに大貴が言った。
「ねぇ直くん、スシ食わない?」
「外出るか?」
「ううん、家でさ。」
「…まさかお前、握るの?」
「にぎらねーよ!なんでだよ!」
「そこまで凝り出したのかと思って…」
凝り性なところがあるから、職人技に挑戦し始めたのかと疑ったが、違ったようだ。
「手間よりも材料費ばかになんねーよ…そうじゃなくて、出前とか。」
「出前?」
「うちさ、クリスマスのご馳走って言ったら、スシ食ってたんだよね。家で、家族でコタツ囲んで。」
「誕生日も寿司って言ってなかったか?」
「誕生日は手巻き。具と酢飯用意して自分で巻くやつ。」
「そんなに寿司好きだっけ?」
「別に普通。」
「なんだそれ。」
別に好きでもないものを食べる意味とは。
「めでたい日はスシなんじゃねぇの?」
少し笑って大貴は続けた。
「でもさ、小さい頃からそうだから、スシ食うと、その日はなんかトクベツな気がする。だから、トクベツな日にはスシって感じ。」
「ハレの日とケの日みたいな感じ?」
「なにそれ。」
「晴れ着とか晴れ舞台とかのハレで、トクベツな日・非日常、みたいな。ケはそれと反対で日常のって意味。」
「へー、そういう言葉どこで覚えんの?」
「うん?えーと…高校の時の授業とか…?」
「いや、聞かれてもわかんねーよ…」
「あと適当に読んだ本とかじゃないかな。」
「・・・まあ、それ。そんな感じ、ハレの日だな!」
言外にお前も読めばと含みを持たせると少し気まずそうにして話を逸らされた。
「って言っても、そんな高級なのじゃなくて、スーパーで売ってるやつとかでもいいんだよ、なんか形だけでも。」
「じゃあ、スーパー行くか?」
「家から出たくないから出前頼もう!」
「お前…自分でスーパーって言ったんだろ。」
「先に出前っても言ってたもんねー。なぁ、前にポストにチラシ入ってただろ?」
「入ってた気がするけど…今はないよ。」
「じゃあスマホで検索する!ぶんめいのりき!」
そういってスマホを操作し始めた大貴が、少しの間の後に口を開いた。
「・・・ねぇ。」
「ん?」
目が合わないまま声だけ投げかけられる。
いつもよりもほんの少し、壊れ物に触るみたいな響の声。
「直くんのところ、ちゃんとサンタ来てた?」
「…来てたよ。」
ずっとずっと昔、おぼろげな記憶だけど、嬉しかった幸せな記憶。
記憶もはっきりしている頃の、少し苦々しい記憶。
それでも、どんな子どもにもサンタクロースは来るべきで、見るべき夢なんだ。
「そっか、そりゃよかった。」
そういって視線を上げ、柔らかく笑った。
そして再びスマホに目を落とし、そのまま続けた。
「今日もさー、夜、いい子に早く寝て待ってたらサンタさん来るかもよ。」
…お前、何考えてる。
俺はもう子どもじゃないから、サンタクロースは来なくても平気だよ。

からかい半分の時に似た声色が少し気に入らなかったので、応戦することにした。
「・・・早く寝るのか?」
「え?」
言葉の意味を理解した大貴が、たっぷり数秒固まったあと赤面した。
「・・・・・・えっ?!」
「えっ」
大貴の反応につられて自分まで赤くなり、やりとりがぎこちなくなる。
それがなんだかもう、やたら可笑しくて、尚更おかしいことになる。
互いにしどろもどろだ。
これから寿司を注文しなくてはいけないし、日は沈んだばかりで本格的な夜まで時間まだまだある。
なのに、この空気をどうしろっていうんだ。

今日はハレの日、クリスマス。
ちょっとおかしいくらい、きっと、どうってことない。

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2014.12.25(Thu)

ss

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